トラック運転席でハンドルを握る手元

インタビュー

INTERVIEW
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荒川 正洋 |取締役

社員を守り、
運送業の未来を変える
代表が語る、
カントラの28年とこれから

代表取締役 荒川 正洋
緑白のロゴ壁を背景に微笑む社長

“トラック1台”から始めた運送人生。
カントラ立ち上げのきっかけ

カントラはどのようなきっかけで創業されたのでしょうか?

おじさんが運送会社を営んでいて、学生のころによくトラックに乗せてもらっていたんですね。
その経験もあって、結婚後に自宅近くで2t車を3〜4時間運転する仕事を見つけ、サラリーマンをしながら子どものミルク代を稼ぐためにアルバイトをしていました。
でも、運ぶのは近所からだけど車庫が20kmほど先の場所で、トラックを返しにいくことが面倒くさくて。
そこで運送会社に「トラックを買ったらいくらくれる?」と聞いたら「1万円あげる」と言われたんです。
1万円×30日=30万円で、トラックのローン払ってガソリン代、保険代払っても半分余るなと。
食品関係の運送で休みがないことだけがネックだったので、後輩に週1回だけ担当してもらってその日だけ休もうと決めてその仕事を受け始めました。
でも、冷蔵品の運送なのに、冷凍車ではなく平ボディーの幌車のようなトラックを使っていて。
「20、30分だから問題ないだろう」と運送会社の方は言っていたけど、「そういう理由は通らないだろう」と指摘があり、仕事がなくなってしまったんです。
それで車のローンをどうしようか悩んでときに、上の会社の人が市場の仕事をやっていたので、「夜であれば市場の仕事どうか?」と誘ってくれまして。
その時まだサラリーマンもやっていたんですが、こちらのお金がよかったのとトラックのローンもあったので、「だったらもうこちらを本業にしよう!」と運送業を始めたんです。

その後だんだんと仲間が増え始めてトラックも4、5台になってきたときに、お客様の方から「白ナンバーでは危険なのでは?」と指摘され、緑ナンバーを取得して営業を開始しました。
波乱万丈ありながらも現在28年になります。

運ぶだけではない、運送の価値を広げていく

なるほど、創業当初からのご経験が今につながっているんですね。
では、そうした背景を踏まえて、今後この業界をどのようにしていきたいとお考えですか?

正直、運送業はいいイメージばかりではありません。
大きいトラックと乗用車がぶつかれば乗用車はつぶれてしまうし、年末休みがないとか残業代が出ないとかあまりイメージはよくないですよね。
ドライバーの地位向上とかこの業界がもっとよくなっていかないと、求人応募も来ないと思うし、この業界は夢もないんじゃないか、と自分では思っているんです。

荷主さんの中にはドライバーを下に見る人もいますし、運賃交渉で「じゃあ他に頼みます」と言われることもあります。
だからこそ「運行管理者資格」や「ロジスティック検定」などを取得して、知識と提案力をつけています。
実際にお客様のところへ行って「Gマークやグリーン系いろいろ取っているよ」と話すと、話を聞いてくれたりしますしね。

僕はもともとホンダのディーラー出身で、整備学校にも通っていました。
“運転するだけではない”と教わった経験が、今の仕事に活きています。
データや知識をもとに提案し信頼を積み重ねれば、運賃交渉もきちんとできますから。

全員に名刺を持たせているのもそのためで、現場でお客様と話す際に信頼していただけるようにしています。

事務所で腕を組み談笑する作業服の男性

現場では「お客様の代表として」働くという意識

資格取得や提案力の強化など、業界をより良くしていこうという姿勢が伝わってきます。
では実際の現場では、どのようなことを大切にされているのでしょうか?

「お客様の会社の代表として現場に行く」という意識を持つことです。
納品先でなにかあったら、弊社ではなくお客様のほうにクレームが行くので、そうならないようにしていますね。

 

特に“安全”は強く言っています。
過去に知人のドライバーが事故で手錠をかけられたと聞いたことがあり、うちの社員にそんな思いをさせたくないんです。
事故と隣り合わせの仕事だからこそ、講師を呼んだ安全講習、懇親会、月1の定例会、年1回の安全大会などを行い、情報共有や意識の統一を大切にしています。

 

家族参加の花見や納涼会など、交流の場も積極的につくっていて、仲間同士がつながり続けられるように習慣化しています。

経験を共有し合える、チームで支える働き方

安全面や社内のつながりへの取り組みもとても印象的でした。
では、実際の“働き方”としては、どのような環境が整っているのでしょうか?

弊社は固定の仕事とスポットの仕事があるんですがだいたい決まったお客様なので、クレームや問題があってもすぐ対応できる体制が整っています。
たとえば、ドライバーが今日の納品先を聞いて「ここ行ったことないな」と思っても、ほかのドライバーが対応したことがあるので、困ったことがあっても柔軟に対応できるんですよね。
ある程度マニュアルも作って対策はしているので、なにかあればマネージャーに行ってもらったりしますね。

今はデジタルレコーダーやドライブレコーダーなどの機器も搭載しています。公共の道路を借りて仕事をしているので、安全運転を心がけながら気持ちよく働ける環境を整えています。

年間105日の休みと、安定した収入を叶える仕組み

業務面のサポート体制や、安全運転への取り組みについてもよく分かりました。
では、働くうえで感じる“会社としての魅力”については、どう捉えていらっしゃいますか?

個人的には、まず「安全面の講習がしっかりあること」が大きな魅力だと思っています。
そして、給与については“派手に高く見せない”ことを大切にしています。

求人では「◯万円〜◯万円」と幅を大きくして高く見せる会社もありますが、
実際に入社してみて稼働状況次第で「今月は達していないので下がります」と言われることが、この業界では少なくありません。

カントラではそうしたギャップが生まれないよう、 年間の稼働日数で運賃契約をし、休みが多い月でも給与が変わらない 仕組みにしています。
年間105日の休みがあり、家庭やプライベートも大切にしながら安定して働けます。
こうした部分は文章では伝わりにくいので、面接ではしっかりお話しするようにしています。

他社は、例えば26万円~35万円みたいな見せ方をしますよね。
実際に勤務してみて稼働ミスが多かったら「達してないから23万円ね。」と言われてしまったり、運送業では結構ある話です。
うちでは、お客様と年間の稼働日数で月割りにして運賃契約しているので、ドライバーの休みが多い月でも給与は変わらないようにしています。
車や住宅のローンを組んでいるドライバーもいるので、安定させたいんです。

事務所で笑顔を見せる作業服の男性

異業種からのステップアップも歓迎。経験より大切なのは、人柄と成長する意欲

給与面や働き方に対する考え方がとても誠実で、安心して働ける環境づくりを重視されていることが伝わってきました。では、人材の育成や採用においては、どのような考えをお持ちですか?

運送業界は人手不足もあり、強引な採用方法をする企業も見受けられます。
転職を繰り返す人の中には、業界内でトラブルを抱えているケースもあるため、
実は 異業種から来てくれる方が一番安心して育てられる と感じています。

いきなり「4tトラックや大型に乗って」というのは難しいですが、
まずは小さめのトラックから始めて、慣れてきたら資格を取ってステップアップできます。
給与の数字だけ見ると高くはないかもしれませんが、
無理なく成長でき、安定した収入を得られる という点は大きな魅力だと思っています。

社員を守るために。徹底した安全意識と現場対応

成長に寄り添う環境がある一方で、現場ではどんなことを大切にしているのでしょうか?
安全面への取り組みについても聞かせてください。

現場に行くと、暑い夏でも「長袖を着てください」と言われます。
ケガや事故を防ぐためには必要なことだからです。

ほんの少しの材料を運ぶだけでも、もし大きな事故が起きれば現場が全て止まってしまうこともあります。
以前、ドライバーが荷物をすぐ降ろしてしまい、現場の方から「何かあったら全部ストップなんだぞ」と厳しく注意を受けたことがありました。
その結果、荷主のお客様が長野まで謝りに行くことになり、仕事も一時的にストップしてしまいました。

こうした経験から、 運転だけでなく、身だしなみ・安全配慮・現場での立ち振る舞い を徹底するようにしています。
社員を守り、お客様に迷惑をかけないために、これは何より大切なことだと考えています。